【出張買取】平田重光造 静芳刻 純銀花瓶(貞明皇后拝領品)他をお買取りいたしました

『平田重光造 静芳刻 純銀花瓶 貞明皇后拝領品(御下賜品)』

出張買取にて純銀花瓶他をご売却いただきました。この度は弊店へのご依頼をいただき誠にありがとうございました。
さて、今回のご依頼品の一つでございます純銀花瓶のことについて少しばかりの駄文を。

花瓶本体につきましてはおいておきまして、
今回はその共箱の書付からお話は始まるのでございます。

拝領品、御下賜品というものに書付を残しておかれる方が多くおいでになり
店主はその書付がどのような物でも毎度毎度気になりまして、、、
今回のご依頼品にも共箱蓋裏にありました書付には以下のような記載がございました

「皇后陛下武庫離宮御典中 大正十一年三月十七日拝領」

とあり店主は気になってしまうのでございます。

武庫離宮、、、大正十一年三月十七日、、、

武庫離宮とは現:須磨離宮公園(神戸市須磨区東須磨)であり
大正三年に天皇陛下の宿泊施設として建造造園された施設となります。
設計は片山東熊(東宮御所他を設計)、庭園設計は福羽逸人(植物御苑、現:新宿御苑)でございました。
昭和二十年神戸空襲にて御殿他が焼失、戦後は進駐軍に接収され昭和三十一年に神戸市へ返還されました。
この離宮には大正天皇、貞明皇后、昭和天皇(当時皇太子)、愛新覚羅溥儀(満州国皇帝)がご宿泊されました。

次に気になるのは、
大正十一年三月十七日という日付
この年この月、皇后陛下は
「今上陛下御病気平癒御祈願」と「摂政宮殿下無事御帰朝御礼」の為、
福岡の香椎宮・箱崎八幡宮・太宰府天満宮への行啓が行われたとの資料を見つけました。
簡単に申せば、御病気の大正天皇の御回復祈願、摂政宮殿下(後の昭和天皇)のヨーロッパ御訪問から御帰りの御礼をするために皇后陛下は旅に出発されたということでしょうか。

資料を見ていて店主は?と疑問が浮かび上がったのであります。
行啓日程表があり眺めておりますと

「三月十日 葉山御用邸出発
静岡より御召列車にて同日須磨の武庫離宮着滞在
三月十三日 武庫離宮出発」

とありました。
?
今回のご依頼品には十七日とあるが、、、
十三日には武庫離宮を離れておられるではないか、、、

書き間違え、、、偽った物、、、

などと考えてみましたが皇后陛下と深いご縁がある方が偽る必要もない、、
では書き間違えか、、、

他の資料を探してこの日の本当の日程表を見つけました。
最初にみた日程表は当初計画された予定表であったようで
探し当てた山口県文書館の資料の中に

「皇后陛下御微恙による日程変更 武庫離宮で静養 武庫離宮出発十八日

との記述がありました。
皇后陛下はその行啓の中の武庫離宮滞在時に軽い発熱があり大事をとり、
当初の十三日出発ではなく十七日に武庫離宮まで静養の為滞在され、
その十七日に離宮内にて皇后陛下よりこの花瓶はご依頼者様のご親族に下賜されたものだと判明いたしました。

スッキリいたしました。

・・・

はずだったのですが
新たな疑問が、、、発熱による日程の変更
変更した出発日にお会いになる、、、
お会いになりたかったから発熱という、、、
そもそもこの離宮のすぐそ、、、

いけません。
これ以上を考えをめぐらせ、
ましてこのような場所へ書くことなど断じていけません。
私の頭の中での想像くらいでとどめておきましょう。
真実は皇后陛下と拝謁された方のみ知りえることなのですから。

店主 拝

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