『Baccarat(バカラ) パルメ』
ご依頼品はバカラのパルメシリーズのワイングラスでございました。楽園に住む鳥をエッジングにて文様に仕立てたものでございます。1939年にフランス大統領の別邸ランブイエ城のハンティングロッジでの使用ために制作されたことがこのシリーズはじまりでございました。————– さて、少しこの時代のフランスの歴史を紐解いてみますと、、、、、この時のフランスの大統領はアルベール・ルブランという方でした。 時はあのアドルフ・ヒットラーが台頭し国際情勢が悪化の一途をたどる激動の正にその時でありました。1939年9月フランスはイギリスと共にドイツに宣戦布告しここに第二次世界大戦が勃発することとなります。1940年5月ヒットラー率いるドイツ軍の侵攻を受けフランスはあえなく降伏。フランス北部はドイツに占領、南部はナチスによる傀儡政権が誕生し追われるようにルブランはグルノーブル郊外のヴィジルという土地へ避難します。しかし1943年ドイツ軍に発見され拘束されてしまいます。ドイツ軍により一時チロルへ移送されますが健康を害し数か月後ヴィジルに戻されれることにはなりましたが、ドイツ軍による軟禁状態はその後も長く続きました。1944年6月連合軍がフランス北部ノルマンディーへ上陸、あの有名なノルマンディー上陸作戦ですね。同年8月9日、連合軍によりフランスが解放されルブランもようやく解放されたのでした。軟禁下での生活で何かしらの健康面での問題が生じたのか、政治家として自信が失われたのか、もしくはそのすべてが彼をそうさせたのかは私ごときにはわかりませんが 、解放の後あのシャルル・ド・ゴールと会談し大統領の職を正式に辞しました。以降政治の舞台からは引退しパリでひっそりと暮らしたそうです。その後、、、ルブランは1950年3月6日パリで肺炎のため死去しました。——————-この美しい文様のバカラのパルメから、時代に翻弄された一人の男の半生が浮かび上がってまいりました。ルブランが今は楽園にいることを心から願います。世界が平和でありますように。
バカラの各シリーズのお買取りいたします。年代、シリーズ、箱の有無にて買取価格は変わります。