その時計はもう誰もいない古い工場(こうば)の片隅にある
古びたデスクの上に古い伝票などと一緒に無造作に置かれておりました。
その姿は、、、
ベルトは途中で切れて一部は失われておりケース部分もガラスも傷だらけで工場作業でも着け続けたのが良くわかるありさま。
手に取って振ると秒針が動き出しまだまだ使ってくださいと言っているようでした。
・・・・
「青い文字盤の腕時計」
私は腕時計の文字盤はオーソドックスなシルバー系や黒系それ以外となれば緑系が好みなのですが、
なぜだか腕時計は青い文字盤というイメージがあるのです。
以前そのイメージはいったいいつ私の中に存在し始めたのだろうと考えたことがありました。
漠然とした記憶の中の青い文字盤は、、、
父親が腕につけていたものだと思い出したのです。
小学校へと上がる前の、、父親がとなりにいて、、何かの展示会、、
多分父親の工場で使用していた工作機械類の展示会の会場へ父親つれられて行ったときだ、
背の大きな大人達と父親がなにかを話をしていた、、、
そんな父親をしり目に暇を持て余した私は周りにある工作機械にふと近寄っていったのだった。
そして急に知らない大人から危ないから近寄ってはいけないと言われて
ビックリした。そして怖かった。
あわててそこにいるであろう父親の脚にしがみついた、、、
しかしその脚は父親のものではなかったのだ。
あっ、、
すぐに父親の脚ではないと思ったのですが固まってしまった私
その時すっと手を伸ばした父親の手の少し上にこの青い文字盤の腕時計があったのでした。
・・・・
古びた工場でみつけた傷だらけの青い文字盤の時計
カレンダーも日付も少し難もありますが磨いてベルトを替えて手元に置いておりました。
そしてこの青い文字盤の時計はこの日一日私の腕にあった。
その夜、、、
オヤジが逝った次の年はなー、、コロナなってよくわからん疫病が世の中で流行ってな
世界中がひっくり返るくらい大騒ぎになって沢山の人が死んで大変だったんだよ、、一時よりはマシになったけどな今もまだ右往左往してるんだぜ、
ひでぇー話だろ?オヤジはそんなものを経験しなくてよかったなー
などとひとり晩酌などしながら数年前に他界した父親のことを思い出しておりまそした、、
そんな二月某日でございます。
店主 拝
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